大人の発達障害と障害年金

~見えにくい生きづらさへの社会保障~

発達障害という言葉は広く知られるようになりましたが、多くは子どもの発達障害に注目が集まっています。ところが、子どもの頃には気づかれなかった特性が、大人になってから顕在化し、日常生活や就労に困難を感じて初めて「大人の発達障害」と診断されるケースが増えています。

こうした方の中には、働きたくても職場に馴染めず転職を繰り返したり、人間関係に強いストレスを感じて引きこもりがちになるなど、経済的にも精神的にも厳しい状況に置かれている方が少なくありません。

発達障害と障害年金の関係

障害年金は「病気やけがにより、日常生活や就労に支障がある人」が対象の公的年金制度です。精神疾患や発達障害も、症状や日常生活・労働への影響の程度によっては受給の対象となります。

大人の発達障害(ASD、ADHD、LDなど)は、それ自体が障害年金の対象となることもありますが、実際にはうつ病や不安障害、適応障害などの二次障害を併発しているケースが多く、この点も審査上重要です。

社労士として感じること

実務では、「発達障害」という診断名だけで審査に通ることは稀です。重要なのは、「どんな困難があるのか」「日常生活や仕事にどれほど支障があるのか」を具体的に文書で示すことです。

例えば、

  • 「初対面の人と会話できない」

  • 「指示を同時に複数受けると混乱する」

  • 「ミスを指摘されるとパニックになる」

  • 「予定変更に対応できず就労が困難になる」

など具体的なエピソードが重視されます。

そのため、医師の診断書だけでなく、本人の申立書(病歴・就労状況申立書)や家族・支援者の意見書も非常に重要な資料となります。

「見えにくい障害」だからこそ支援が必要

発達障害は外見からわかりにくく、周囲から「怠けている」「協調性がない」と誤解されることも多い障害です。しかし本人にとっては社会生活を営むうえで大きなハンディとなります。

社労士として、そうした「見えにくい生きづらさ」を丁寧にヒアリングし、障害年金という形で少しでも安心して生活を送るための支援ができることに大きな意義を感じています。

「本当に受給できるのか」「こんな自分が対象になるのか」と不安な方は、ぜひ一度専門家に相談してください。

「大人の発達障害」障害年金のよくある質問

Q1. 30代(40代、50代)で初めて発達障害と診断されました。障害年金は対象になりますか?
A1. はい、対象となる可能性があります。年齢に関わらず、発達障害による日常生活や就労の支障が一定の基準を満たせば受給可能です。重要なのは初診日と障害の状態です。

 

Q2. 子どもの頃は特に問題なかったと思っていましたが、大人になってから診断されました。初診日は?
A2. 大人になって困難を自覚し、初めて医療機関を受診した日が初診日となります。子どもの頃に顕在化していなくても、生まれ持った特性なので成人後の受診でも問題ありません。

 

Q3. 転職を繰り返しています。審査に影響しますか?
A3. はい、重要なポイントです。転職を繰り返す状況は就労能力の制約と判断される可能性があります。理由や経緯を具体的に申立書に記載しましょう。

 

Q4. 発達障害のため家事や育児がうまくできません。評価されますか?
A4. はい、日常生活能力の支障も評価対象です。具体的な状況を伝えることで障害の程度として考慮されます。

 

Q5. 会社に障害を隠して働いていますが申請に影響しますか?
A5. 会社に伝えているかは審査に直接影響しません。重要なのは実際の就労状況(仕事内容、配慮の有無、業務の困難さ)です。診断書や申立書に正確に記載してください。

 

まとめ

「大人の発達障害」と診断されて、生きづらさの原因がわかっても生活や仕事に不安を抱える方は多いです。障害年金は経済的安定を得て、治療や働き方の工夫を支える大きな支えとなります。

診断が遅れても諦める必要はありません。専門的な知識が必要な場面も多いので、一人で悩まず、まずは障害年金専門の社会保険労務士にご相談ください。

当事務所は、「大人の発達障害」の特性や困難さを理解し、一人ひとりに寄り添って受給まで全力でサポートいたします。

 

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この記事を書いた人

黒田隆治
黒田隆治社会保険労務士
はじめまして。社労士事務所フィル・エンドランの黒田隆治と申します。
この度は数あるホームページの中から当サイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。
障害年金は、身体障害をはじめ、知的障害、うつ病・統合失調症などの精神疾患、がん・脳血管疾患・心疾患・糖尿病など、けがや病気によって生活や仕事に支障のある方を支える重要な制度です。
特に私は生まれ育った地元・船橋、習志野の地域で暮らす皆さまの力になりたいと考えています。
障害年金の申請は一人で抱え込むと不安が大きく、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
もし障害年金のことでお悩みでしたら、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。
一緒に障害年金の受給へ向けて考え、進めてまいりましょう。
皆様の人生がより豊かなものとなるよう、全力でサポートすることをお約束いたします。
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